手書き時代の良さをケアカルテで表現
“使いやすいシステム”に変えることが記録の質の向上につながる
滋賀県で障がい児者支援や、高齢者介護サービス、地域生活支援などの独自の事業を展開する『社会福祉法人ひだまり』は、「子どもからお年寄りまでの“地域の中の居場所”でありたい」という理事長の叔母様の思いからスタートしました。利用者にとって『ひだまり』が、住み慣れた町で暮らし続けられる場所であるために、職員の働きやすさや離職防止、業務効率化にICTを活用しています。
今回は同法人の理事長 永田かおりさんに、ケアカルテを導入した理由とその効果を伺いました。
― ケアカルテを導入したきっかけを教えてください。
当社は令和3年に、看護小規模多機能事業所と障がい福祉事業所の複合型拠点開設の際にケアカルテを導入しました。元々、高齢者介護分野では記録は手書きで請求だけシステムを使っていましたが、特別養護老人ホームを新設するタイミングでもっとシステム化していこうと、平成29年頃から本格的に色々なシステムを比較・検討し始めました。当社には介護と障がい支援の複合事業があり、記録や請求などのシステムはそれぞれに入っていて管理がバラバラでした。そのため一元管理できるシステムを探していましたが、記録と請求が全て連携できるシステムはひと握り。その中で、介護だけではなく障がい福祉もしっかりサポートされており、さらに記録機能が他社と比べて優れていると感じたのが、ケアカルテでした。これを機に記録システムを導入していなかった拠点と、新しく立ち上げた事業所にケアカルテを導入しました。
― ケアカルテの記録機能で優れていると感じたのは、どの部分でしょうか?
何よりカスタマイズに優れていますね。元々手書きの記録をしてきた拠点での導入については、現場からカスタマイズの要望が数多く出ました。例えば食事の量やレクリエーション、入浴、夜間の様子などの記録スペースは調整したり、処置内容の入力は機器と連動するようにしました。敬語での入力は「文字数が多くなって、記入スペースがもったいないからやめよう」など。また、手書き時代の良さをカスタマイズでシステム内に残すように、オーダーメイドの帳票も多数“追加カスタマイズ”していきました。ケアカルテは“使いやすいようにシステムを変えられる”が前提で作られていて、ありがたいですね。
― ハナストの導入効果について教えてください。
ハナストは今年3月に導入し、研修を重ねて6月に本格始動しました。職員からは「音声認識待ち時間」を調整できることが好評で、慣れないうちは発話から終了までの時間を長めに設定して慣れたら早くするなど、職員の習得具合に合わせて活用することができています。小多機の施設では、元々手書きだったこともあり、外国人スタッフのケア内容を日本人スタッフが代わりに記録していましたが、導入後は自分の記録は自分で入力できるようになりました。これからもハナストを使いこなしていきたいです。
― ケアカルテの導入を検討中の事業所様に伝えたい導入のメリットがあれば教えてください。
とにかく「使い勝手が良い」のが一番のメリットです。
まず手書きの手間が省略できたことや、過去の記録を振り返りやすいこと。必要な利用者だけ検索をかけて情報を拾うことができたり、一端末でナースコールなど諸々の通知を受けて管理できるようになったことが嬉しいポイントです。また、夜間など職員の数が少ない時も助かっています。特に看取りの方や身体の調子が不安な方は見守り機器で様子を確認して、異変があったらすぐに駆けつけることができます。巡回のタイミングについても、経験の浅い職員だと非常に不安で何度も確認に行くことがありますが、バイタルのデータが連動しているおかげで、職員も安心して勤務に臨むことができます。
他のソフトと比べても断然分かりやすく、システムに明るくない職員でも使いこなせると思います。まだまだ私たちも、ケアカルテの機能全てを使いこなせていないでしょうから、これからどんどんいろんな機能を活用して業務品質を高めていきたいです。
当記事の内容は、取材当時の情報です。
お話しを伺った方
看護師として病院勤務・訪問看護勤務を経て、平成15年に「NPO法人ひだまり」を立ち上げ、同年6月に宅児・宅老(デイサービス)ひだまりを開設。その半年後、医療的ケアが必要な障がい児さんとお母さんとの出会いをきっかけに障がい児の預かり支援を開始。その後、小規模多機能、居宅支援事業所、認知症対応型グループホーム、地域密着型特養、訪問看護等を順次開設し、平成27年には社会福祉法人を設立。現在は滋賀県米原市内に事業所を展開し、社会福祉法人とNPO法人との両方で活動中。