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Long-term care Efforts Vol.03

介護の取り組み

委員会活動をゆる〜く配信!?
〜リクルートにツナがるYouTube動画配信〜

社会福祉法人 日春会 特別養護老人ホーム 橘の丘

今回は約3年前に公式YouTubeチャンネルを開設し、積極的に動画で施設の情報を配信している「特別養護老人ホーム 橘の丘」の三宅施設長に、チャンネルの目的や効果について、ケアコネクトジャパン福岡支店のケアコネクター 山下がインタビュアーとなりお話を伺いました。

お話を伺った三宅施設長(左)とケアコネクター山下(右)

お話を伺った三宅施設長(左)とケアコネクター山下(右)

 

ホームページ閲覧数の裾野を広げたい

(ケアコネクター 山下) YouTubeをやろうと思ったきっかけはなんですか?

(三宅施設長) 最初は長崎の地方CMで取材させてほしいと言われて、45秒くらいの動画が出たんです。せっかくなのでYouTubeのアカウントを作ってアップしたのがきっかけですね。YouTubeチャンネルの一番最初に載ってますよ。それからしばらくはほったらかしにしてたんですが、ちょこちょこアップするようになって。ホームページのリニューアルの時に業者さんとの話で、閲覧数の裾野を広げるためにYouTubeと紐付けようかということになって。

施設での様子を伝えたい思いが…

施設での様子を伝えたい思いが…

 

職員の確保のためには…

(ケアコネクター 山下) 他の施設に比べて積極的に情報発信をされていますが、何か目的はありましたか?

(三宅施設長) いろいろなんですが…、最終的な意味や目的は「リクルート」ですね。
僕たちの業界は、黙っててもお客さんがくるという時代ではないんですが、他の業種ほど営業をかけなくても高齢者の方や介護が必要な方など、利用者さんはいらっしゃる。どちらかというと、職員を確保すればするほど事業も膨れるし、安定的な経営もできるので、まずは職員の確保が必要になってくるのかなと思っています。

ハローワークであったり新卒の方であったり、有料の人材紹介・求人誌などのいろいろな求人媒体があるなかで、何が有効か。1ヶ月10万円の掲載とかであまりお金はかけたくないですよね。

そこで、まずはHPのリニューアルを考えました。スマホでホームページを見れば施設の中も、職員の顔も見ることができて、全てがわかるようにしたいと。「橘の丘」と検索をしてHPを見にくる人の裾野を広げるための、一つのツールとしてのYouTubeですね。
YouTubeのリンクからHPへの流入を促し、最終的にリクルートにつなげたいと。

自然と笑顔が溢れる

自然と笑顔が溢れる

 

職員の「見える化」で得られるもの

(三宅施設長) YouTubeをはじめて気づいたことは、僕らの仕事は可視化しにくいじゃないですか。例えば営業の仕事だと「新規で10件取りました」とか「20件分の利益を会社に還元できました」とできるけれど、「おむつ外しが成功した」だとか「利用者さんがこんな喜びを得た」ということを対外的に表現するというのはなかなか難しい。

そういったなかでYouTubeで職員がおこなっていることをアップすれば「見える化」ができる。例えば、お子さんのいる職員が認知症のケアを紹介している動画に出演すると、子供さんにお母さんの仕事中の様子を見ていただくこともできる。出演している職員にも自己肯定感がうまれて、自分の仕事に胸を張って取り組むことができる。

施設の中にいるだけではわからないことを、発信することによって自己肯定感や承認欲求が得られるのかなと、動画配信をしながら気づいたことですね。
もちろん出たくない職員は出演させませんが、意外と出たがる職員が多いんですよ(笑)

「見える化」によって得られる効果は多い

「見える化」によって得られる効果は多い

 

9つの委員会で組織も活性化!

良い雰囲気づくりが動画にも影響

(ケアコネクター 山下) 施設や職員の可視化がやりがいにツナがっているんですね。
委員会を立てて、その取り組みなどを「見える化」したいというのはなかなかできることではないのですごく勉強になります。
いろんな委員会が目的を持って委員会活動を行なっているということですよね?

(三宅施設長) 委員会って他部署同士の繋がりじゃないですか。僕らで言うとユニット、ショートステイ、デイサービスがあるなかで、それぞれの担当が一人ずつ出てきての活動だから、この委員会が活性化すればするほど組織も活性化していくと思うんですよね。委員会が元気のない時は、組織自体にも元気がない。
お祭りでもなんでも「よし!やろうぜ!」ってなれば組織は活気づいていくので、そうなってくるとHPにもYouTubeにも良い雰囲気が出てくると思う。
なので、委員会はこだわっていることのひとつ。委員長の人選も悩みますが、今後の期待値も込めて抜擢しています。

(ケアコネクター 山下) 任された人は自覚を持って活動していくと思うので、期待されているということがひとつのモチベーションにもなりますね!

(三宅施設長) そうですね。出世欲があまりない人も結構多い(笑)ので、抜擢するのも兼ね合いが難しかったりもしますが・・・

(ケアコネクター 山下) 今、委員会はいくつありますか?

(三宅施設長) 最初は14委員会くらいあったのですが、さすがに多かった(笑) 吸収合併を繰り返して今は9つの委員会になりました。
*褥瘡予防・感染症対策委員会 *事故防止委員会 *身体拘束廃止委員会
*衛生委員会 *ユニットケア推進委員会 *地域貢献委員会
*LIFE(科学的介護推進) *排泄・入浴委員会 *特別委員会

(ケアコネクター 山下) SNS委員会もあるんですか?

(三宅施設長) SNS委員会は僕一人です(笑) このへんを作ってほしいって言われればカチカチ作るって感じです。
でも、もう一人、PCの動画編集ソフトに長けていてスマホでも器用に作る地域貢献委員会の職員がいて、今は介護予防教室ができないので、動画で「家でできる介護予防教室」を配信しています。QRコードやチラシを作って公民館などに配ったりして「観てください!」と宣伝しています。まだまだ再生回数は少ないんですがね(笑)

委員会の活性化が組織の活性化にもツナがる

委員会の活性化が組織の活性化にもツナがる

 

定着率も良くなってきているかな

(ケアコネクター 山下) 実習に来られた方なども、そういったYouTubeを見てきているのでしょうか?

(三宅施設長) そうですね。ここ数年応募してきた人の話を聞くと「あの動画に出ていた人ですよね?」とかの会話を聞くことがあります。

(ケアコネクター 山下) 興味を持って来てくれた人たちが、そこで定着していくといいですよね。学校で話題にしてくれたりとかもして。

(三宅施設長) そうですね。見てから来てくれてる分、定着率は良くなってきているのかなと思いますね。
たまたま近くにあった施設だから来たというわけではなくて、ホームページやYouTubeとかいろいろと見て、「こんな活動しているんだ」「こんな人たちがいるんだ」「じゃあ行ってみよう!」って、自分でチョイスして入ってきた施設だから、まず入り口が違うのかなと思う。

 

 

ICT化もウリのひとつに

業務省略化で削減した時間の活用は自分次第!

(ケアコネクター 山下) まだまだ業務を電子化している施設は少ないですが、リクルートに関してもICT化を売りにすることはありますか?

(三宅施設長) もちろんありますよ! 時代の最先端を使っているということではなくて、業務省略化ということに注力しているところですかね。もちろん利用者サービスの向上というところを目的としていますが、無駄な業務を省くことを追求していきたいと。だからケアカルテを導入しているんだよと。

(ケアコネクター 山下) 学生の子たちはお年寄りと関わるのが好きだという理由で入職したけれど、実際の現場は業務に追われてイメージと違った、という感じにならないようにケアカルテのようなツールを使っているということですよね。

(三宅施設長) そうですね。そのツールの活かし方って自分次第だと思うんですよね。ペーパーから移行して記録にかかる時間を減らした時に、ただ楽になったという人はいっぱいいると思うんです。業務省略化で時間削減をしたのだから、その時間や労力の活かし方は自分次第。こちらから追求していくと息が詰まって難しいと思うので。

ただ、コロナの影響で密を避けるためにお風呂の時間をずらしたりして時間配分がややこしくなっているけど、出勤停止とかで人が少なくてもそれほど負担をかけずに対処できていると思う。
例えばデイの場合、1日の利用者さん40人くらいに対し職員が15人。職員にはいろいろと割り振りの係があって、業務省略化でそのうちの「記録を書き込む係」がいらなくなりました。その係だった人がお風呂にまわれたり、フロアにいけるようになったり。単純にそこは可視化できる人員削減ですよね。

モバイルの活用で業務省略化!

モバイルの活用で業務省略化!

 

ファーストチョイス「橘の丘」!

(ケアコネクター 山下) 今後はどうしていきたいですか?

(三宅施設長) 「橘の丘」というブランドをいろんな意味で確立していきたいですね。そうすると必然的、恒常的に求人者も集まるし、利用者さんも集まって安定的な経営と安定的なサービスができるってところを目指していきたいと思っています。ブランデイングってところにSNSであったりICT化がキーになっていくところかと。中身が整っていかないと意味がない。なので「中身」と「プランディング」を両輪としてやっていきたいと思っています。

とくに、ケアカルテを3年前に導入して、さらにSNSやYouTubeに注力して発信してきたので、この令和3・4年度は「マニュアル化」をまずはペーパーベースで整備して、それをさらに動画というツールを使っていこうと考えている。
でも、まずはスキル・知識・技術の標準化というところがないとブランディングには程遠いかなと。なので3〜5年スパンでの計画としてイメージしています。基礎体力をしっかりつけて揺るがない組織にしていきたいですね。

介護自体を目指す人が少なくなっているなかで、奪い合いのようなかたちになってきているけど、ファーストチョイスとして「橘の丘」を選んでもらえるようにしていきたい。

 

介護施設からの情報発信の目的とは、介護業界に直接携わっていない人に正しい状況を伝えるという印象でしたが、「橘の丘」では職員のモチベーション向上やそのご家族に現場の様子を知ってもらうなど、職員さん目線でも活用されていました。

また、施設や職員の可視化「見える化」をすることで、採用活動にもツナがっていました。
現場の様子がわかると、これから介護業界に勤めたい、携わりたいと考えている人には安心感を与えられますよね。
介護について、若年層にはあまり関わりがないと思われてしまいがちですが、「橘の丘」では親しみのあるツールを数多く使用して情報発信されているので、少しでも介護のイメージが伝わってほしいと感じました。

お話を聞いた施設

社会福祉法人 日春会 特別養護老人ホーム 橘の丘
サービス 特別養護老人ホーム(定員50名)、ショートステイ(定員10名)
デイサービス(定員55名)
住所 〒851-0124  長崎県長崎市春日町284-2
電話番号 095-839-7330
サイトURL https://tachibananooka.jp/

Coverage, editing:CareConnectJapan Yamashita,Nakamura,Tanaka

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