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Long-term care Efforts

介護の取り組み

独自開発のICTシステムが連携する
”新しい介護・医療業界のカタチ”とは

医療・介護・健康・福祉のウェルグループ

関西で医療・介護事業の17法人、45事業所を運営するウェルグループ。
介護業界が抱える人材不足やICT化の遅れを解消するための「全国メディケア事業協議会」立ち上げから、人材育成プログラムの提供やICTシステム「CareBiz」の開発、「介護×IT×外国人」をキャッチフレーズとした東南アジアにおける海外人材育成の促進など、医療・介護業界に前例のない仕組みを作り続けています。
その取り組みを牽引し、同グループの代表を務める井村征路さんが見据える“新しい介護・医療業界のカタチ”とは? 
同社で注力されている在宅医療の取り組みを中心にお話を伺いました。

 

―ウェルグループでは現在「在宅医療」に力を入れていらっしゃると伺いました。
今年、在宅医療センターも立ち上げられたのですね。

在宅医療は、ウェルグループ内の医療法人が中心となって進めている事業です。
そもそも在宅医療には、医師・看護師・セラピスト・歯科医師・栄養士・ホームヘルパー・ケアマネージャー…といったようにたくさんの専門職が関わっています。
ですが、立ち上げ前は専門職の方々がそれぞれ各ステーションから訪問していて、情報共有がしやすい環境ではありませんでした。

実際に「他職種からの情報が欲しい」という意見を耳にしていたこともあり、2022年4月に立ち上げたのが在宅医療センターです。センターには医師、看護師などさまざまな専門職が集います。これまではバラバラだったチームが一つの場所に集うことで、医師からホームヘルパーへ、看護師から栄養士へ、といった職種間での情報共有がしやすい環境ができました。
 

―情報共有をより円滑にするために、どのような具体策を取られたのでしょうか。

今回立ち上げた在宅医療センターは、すべてICTシステムで連携しているのが特徴です。
現在「CareBiz」というシステム中心にICT連携をはかっています。「CareBiz」には他職種のスタッフ間で簡単にやりとりができるチャット機能があるだけではなく、利用者さんの生体情報(現在の体温など)や環境情報(室温など)が確認できる機能がついています。訪問時に必要なデータ入力も、タブレット端末やスマートフォンでサクッとできるようになっており、データがリアルタイムで確認できます。もちろんケアカルテとも連携しているので、すべての情報をまとめて管理できます。ケアカルテはさまざまな機器と連携しているため、なくてはならない存在です。
さらに、これらの情報はセンターの大型モニターに映し出され皆でチェックできるため、危険を先に察知することも可能になりました。

とはいえ、ICTの活用はあくまでツールの話に過ぎません。さまざまな職種の方々がひとつの場所に集まってやりとりをするというアナログの価値ははかり知れず、デジタルではまかなえない部分を補完しています。職種の垣根を越えた情報共有を進めようとしてデータやチャットのやりとりをしても、それだけでは十分と言えないのだなと肌で感じています。

情報共有ツール「CareBiz」によりデータをリアルタイムで確認

 

―「CareBiz」の画面は、とても見やすいと感じます。
このように現場が使いやすいシステムを開発できる秘訣はなんでしょうか。

やはりグループ内にシステム部門があるのが強みだと思っています。このシステム部門、実は開発を専門としているわけではありません。建築業界でたとえるなら、施主からヒアリングした要望を工務店に伝える「設計会社」のような役割を担っています。

システム開発を外部の開発会社さんにお願いしようとすると、専門用語や介護の現場特有のイメージを正確に共有するのがとても難しく「言葉が通じない」といった状況がよく起こります。ですがうちでは、現場で働く方々の声を、外部の開発会社さんにも通じるようシステム部門が翻訳をしてくれる。そうすることで現場の声を活かした、現場が使いやすいシステム開発が可能になっているのです。

今年度はJETRO(日本貿易振興機構)の後押しを受け、このあたりの介護にまつわる周辺サービスを海外に広める事業も、実施することになっています。

地域の人々の健康をサポートする医療体制

メディケア健康シティ 地域交流エリアの「福祉農園」と「健康カフェ」

 

地域医療とは、病院などの医療的枠組みにとらわれずに、地域全体でそこに暮らす人々の健康をサポートしていく医療体制のことです。私たちは入所施設を中心に運営していましたが、「最期の日々を自分の家で過ごしたい」といったような在宅医療に対する需要の高まりはいつも感じていました。
「これからは施設を運営するだけではなく、医療や法人の枠を超えて地域全体で住民の健康をサポートしよう」という考えに至るのはとても自然なことでした。

現在は「メディケア健康シティ」という構想に賛同する仲間とともに、地域医療の実現を目指しています。介護・医療事業者が街のあらゆる機関と連携し、ひとりひとりの健康を中心に街づくりを行なっていく構想です。この「メディケア健康シティ」を実現するためにも、ICTを活用した電子カルテなどのデータ連携は必須となってくるでしょう。
 

週刊ケアカルテの記事をお読みの方におすすめ!

 

―経営目線で見て、地域医療に力を入れることにより気づいたものや、実感されているメリットはありますか?

売り上げ的な面でいうと、介護に至る手前である「ヘルスケア」の分野をどう捉えるかがポイントだと感じています。ヘルスケアはまだまだ元気な方を対象としていますから、「収入に結びつきにくい分野だ」と言う方が多いかもしれません。ですが、地域において私たちが存在する意義や価値を高めることで、ビジネスとして成り立つ可能性は十分にあると考えています。たとえばICTを使って地域の声やデータを拾い上げることで、パーソナライズされたヘルスケアサービスの提供が可能になる…といったことも考えられます。

もっと大きな視点でみると、地域と繋がっていくことのメリットはとても大きいです。目の前の問題であるデイサービスの送迎ひとつとっても、タクシー会社さんや付近のデイサービスと連携できれば解決できそうですよね。そういった、業種の領域を超えて繋がっていくのが、地域のこれからのあり方として理想なのではないかと思っています。そして、地域医療の考え方が日本国内だけではなく世界に広まっていくことを願っています。

お話を聞いた施設

医療・介護・健康・福祉のウェルグループ
サイトURL http://www.wellgroup.jp/

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