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“現場を知る企業”だからこそ生まれた
先回りのケアが実現できる次世代の見守りセンサー

株式会社インフィック・コミュニケーションズ

人手不足、財源不足、孤独死…大きな課題が山積する介護業界で、ITの活用はもはや欠かすことができません。中でも介護施設においては夜間の見守り業務をどのように効率化・省人化するかが運営を左右するとも言われています。
そういった状況でも効率化はもちろん、それだけにとどまらず働く方々のやりがいをも創り出すのは、次世代の見守りセンサー『LASHIC(ラシク)』。今回は、その事業責任者で、株式会社インフィック・コミュニケーションズの取締役社長・花島一誠さんにお話を伺いました。
 

―見守りセンサーを開発するに至った背景はどのようなものだったのでしょうか。

インフィック・コミュニケーションズは、人材派遣などを事業とするインフィックの社内ベンチャーとしてスタートした会社です。今からおよそ10年前、まだ事業の構想段階にあった頃、介護業界においては2025年問題や2035年問題が話題となっていました。人手不足が続いているところへ、一気に介護需要が増える時期がやってくる。そんな構造がすでに見えてしまっていたのです。迫り来る深刻な人手不足に対処すべき時、ITをどう使いこなすかを考えるのは自然な流れでした。もともとインフィックのグループ会社で訪問介護事業も展開しており、孤独死や独居高齢者が社会問題となる前から「いつも通り訪問したらご利用者が亡くなっていた」という状況は目の当たりにしてきました。どうしたら、こういった切ない最期を迎えるお年寄りを一人も出さないでいられるのだろう。そんな想いから、見守りセンサー『LASHIC』の開発が始まりました。
 

―在宅の高齢者を見守るセンサーというのは、その当時では新しい視点だったのではないでしょうか。

開発当時、在宅の高齢者を見守ることを目的とした市場には緊急通報システムもありましたが、緊急通報はご利用者がボタンを押せて初めて成り立つもので、逆に言えばボタンを押せなければ異常に気がつけないんです。そこで私たちが着目したのがセンサーです。センサーであれば「ボタンを押す」といった能動的な行動が無くても異常を感知することができます。カメラを使うという案も出ましたが、討議の結果「空間センサー」を選びました。当初は在宅の高齢者を見守るセンサーとしてシステムを使っていたのですが、いつしか社会的な要請として在宅の高齢者を見守るセンサーが普及するのはまだ先の未来だと感じるようになり、活躍の場を「在宅から施設へ」と一旦移すことになりました。もとは在宅向けだったこともあり、センサーの一つひとつが直接インターネットに繋がるなど、施設向けのソリューションではないかのような仕掛けや見た目は、今やLASHICのひとつの特徴にもなっています。
 

―訪問介護をされていたからこそできたシステムなのですね。ほかにも他社製品と比較してどういった特徴がありますか。

特徴のひとつは「カメラを使わないこと」です。もっと言うとご利用者から見た時に「カメラが自分に向いている」と感じさせないことを大事にしています。もちろんプライバシーの配慮という意味合いもありますが、常にカメラが自分に向いているような環境で寝泊まりするのはやはり嫌じゃないかなと思うんです。
また特徴として「先回りのケアができること」があります。見守りセンサーの理想は「転んだら知らせてね」ではなく「転ばせないためにどうするか」。そういった先回りのケアを実現するために、異常を検知して知らせるだけではなく「暮らしぶりを可視化すること」をポリシーとしています。それを可能にしているのが、赤外線センサーと独自の解析です。これらによってどれくらいの運動量があったのか、なかったのかを把握することができます。例えば普段は一度寝たら朝まで熟睡する人が、夜中に起きてしまうようになったことが分かります。


 

―見守りセンサーといえば通知の速さが大きなウリとされることが多い印象があったので、「暮らしぶりを可視化し、一歩先のケアをする」という視点がとても新鮮です。導入効果はいかがですか。

間接業務に割いていた時間の約43%を、直接業務に充てる時間へと変換することができた実例があります。間接業務といってもその中身はさまざまですが、中でもインパクトが大きいのは訪室巡視の削減です。LASHICを導入してくださっている多くの事業者さんは、純粋な訪室巡視をほぼしていないと思います。夜間に訪室するのは、体位交換やオムツ交換など…目的がある時だけ。それでかなりの時間が削減できます。ほかの見守りセンサーでも同様の効果が得られると思うのですが、LASHICが実現したいのは、効率化のその先にあるケア。ですから単に間接業務の時間が削減されたことだけではなく、ケアの質が向上したと実感していただけるようにしていきたいです。
ケアの質という話で言うと、例えば「最近Aさんの様子がおかしい」と思っても、ベテランのヘルパーと話すまでケアの方針が決まらないことはよくあると思うんです。ところがセンサーでデータが取れていれば、アセスメントやカンファレンスの質が変わり、「データではこういう経過になっているから、このケアに変えよう」といった話し合いが効率的に行えるようになります。そういう効果を生み出していきたいですし、働く方々のやりがいにもつながりますね。


 

―ほかには、どのような特徴があるのでしょうか。

弊社の良さは、システムの保守からカスタマーサポートに至るまで、全員”現場の話が通じる”ところではないかと思っています。導入支援にも力を入れているのですが、経営層の方に刺さる言い方と現場で働く方々に刺さる言い方はまるで違うんだ、と心得ているのは法人として私たちの良さなのかなと感じています。
 

―現場目線で導入支援をされているのが、導入成功の秘訣となっているのですね。今後、LASHICはどのように進化していくのでしょうか。

冒頭でお話しした課題のうち、介護業界全体の財源不足は悪化する一方だと思います。どんなに良いモノが出てきても、値段が高ければ使われない。ですから、業界に必要なのは「ちょうどいい機能を手頃な価格で提供」できる存在。それに加えて、閉ざされたサービスではなくてオープンなプラットフォームも介護業界にとって必要だと思っています。いろいろな会社のサービスを使って、結局高くついてしまうのは嫌だなと。今、弊社は基本どなたに対してもオープンな姿勢ですが、今後も「オープンなプラットフォーム的デバイス」としてレベルアップしていきたいと思っています。


 

〈問合せ先〉
株式会社インフィック・コミュニケーションズ
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目3−1 新東京ビル 7F
WEBサイト:https://lashic-care.jp/
 

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