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これからの障害福祉制度のゆくえ
〜介事連の活動目的・障害福祉の制度施行〜

一般社団法人 全国介護事業者連盟 障害福祉事業部会 会長 中川 亮 氏

2022年11月10日(木)に開催した、一般社団法人全国介護事業者連盟(以下、介事連) 障害福祉事業部会 会長 中川さまによるセミナー『国の政策に沿った これからの障害福祉制度のゆくえ』の内容を、週刊ケアカルテでもお届けします。

本記事では、セミナーの前半にあたる「介事連の活動目的」や「近年の障害福祉サービスの制度施行」について、ご紹介しています。

内容を動画で知りたい方はコチラ
 

目次

● 障害福祉事業所と活動団体について
● 介事連と障害福祉事業部会の活動目的
● 近年の障害福祉サービスの制度施行
  ー「障害者自立支援法」について
  ー 制度設計の規制強化
  ー 評価の指標を見直し、充実した支援を提供
 

 
セミナー登壇者
 

 

● 障害福祉事業所と活動団体について

 
障害福祉のルールは、「障害者総合支援法」という法律の中で決められ、その制度に沿って各障害福祉事業所が運営されています。

障害福祉事業所は、社会福祉法人、医療法人、株式会社、合同会社、一般社団法人など全国に10万事業所ほど。サービス種別(訪問系、通所系、居住系など)は、軽度から重度の方に向けたサービス、児童から大人に向けたサービスと、さまざまな種類があります。そういった中で国の法律に対して意見や要望を出す、各サービスの代表のような団体が、日本中に顕在しているような状況です。そのような団体についてサービス種別や法人種別に見てみると偏りがあるため、全国10万の事業所が一致団結して意見を出しているかというと、そのようには言い切ることができません。団体からの要望はバラバラに出ていくことになるため、各団体とそれに紐づくサービス事業所は自分たちのルールに偏った方向で動いているのが現状です。

現場のリアルな声を、国や厚労省に届けていこうという行い、新規も含めた異業種からの参入、また介護業界からも参入がある中で、運営や支援の在り方に対しての指示指導が行政からはありませんでした。
正しくしっかりとした思いで運営をしていきたい方々が
「どのように運営したら良いかわからない」「行政から出る補助金制度などの有益な情報を受け取れない」「方向性が分からず運営をしていく中で法律が変わるなどの外部要件によって”思い”はあっても事業は存続できない」といったことを思われている状況です。

我々「介事連」は、法人種別やサービス種別を問わずに団結し、国にさまざまな要望を上げていく、そしてまた国から必要な情報を事業所に伝えていく。「大同団結」の団体です。


 

● 介事連と障害福祉事業部会の活動目的

 
全国介護事業者連盟(介事連)は、2018年6月に介護、高齢者福祉から始まった団体です。
加盟している事業所数は、現状では2,300社、15,863事業所(2022年9月時点)あり、数でいうと介護業界の中でも日本で1番大きな組織です。団体活動の「必要性」を感じ、皆さまに入会いただいたことで、4年程でこれだけの大きな団体になったのだと思います。
介事連は「介護・障害福祉事業者による横断的組織体制」を取っていくこと、
そして「産業化の推進」「生産性向上の推進」を持続可能な介護保険制度の確立を支える2大テーマに掲げ、法人・サービス種別の垣根を超えた介護事業者による団体として設立されています。
介事連の「障害福祉事業部会」は、2021年12月に設立されました。
(2022年11月中旬で)ちょうど1年ほど経った段階ですが、約2,500事業所の方々に賛同いただいて、組織拡大をしている状況です。
6都道府県に支部構成を図り、2022年度中には10都道府県への設立を目標としています。障害福祉には、介護福祉以上に各都道府県のさまざまなローカルルールがあります。したがって、各都道府県に対して事業のルールや意見提言する活動をしていくことになります。障害福祉事業部会の活動目的としては「持続可能な社会保険制度の実現」「医療との連携を図り、現場視点による制度・政策への情報発信・提言」を行うということで、全国に組織拡大を図りながら進めております。


 

● 近年の障害福祉サービスの制度施行

 
障害福祉サービスは元々、社会福祉法人を中心とした法人でしか運営できませんでした。現在は、3年に一度の法律改定・報酬改定など色々な制度改革を経て、運営方法も変わってきている状況にあります。

経緯として、2003年から支援費制度が始まり、2006年に「障害者自立支援法」が施行され、ここから民間の事業所や法人なども参入できるようになりました。
それぞれ3年に一度ではありますが、エビデンスを取りながら法律を変え、報酬改定によってサービスごとに加算、人員配置などルールが変わっていくので、しっかりと理解していないといけません。

改定前後の同じサービスの報酬を比較したときに、その法律…例えば評価ポイントなどが変わってくると、国からの報酬は下がるため事業の運営に影響が及びます。この点については過去、介護も流れは一緒でした。2015年の改定でさまざまなサービスの報酬が下がり、以降事業の運営が厳しくなっています。その介護の後をたどって、障がいでも同様のルール設定がされているイメージです。
 

ー「障害者自立支援法」について

 
「障害者自立支援法」は、2003年4月に「障害者総合支援法」という法律に変わり、難病の方なども障害福祉サービスを受けられるようになりました。
ご存じの方も多くいらっしゃるかと思いますが、障害福祉サービスでは各都道府県の「指定権者」と言われる”許可”を出す機関から、広さや設備の基準などといったさまざまな指定基準・認可基準をクリアすると「事業所番号」が発行されます。

また、介護であれば介護保険と税金、医療であれば医療保険と税金、となりますが
障害福祉に関しては全額税金で、半分が国で残り半分が都道府県と市区町村の内訳となります。障害福祉を支援することで国から支援費が出て、職員の人件費や家賃などを賄うことで事業の運営ができる制度になります。
 

ー 制度設計の規制強化

 
事業所が増加する中、制度設計が厳しくなり規制が強化されています。
例えば、障がい児(業界では18歳未満)のサービスは「児童福祉法」、18歳以上が「障害者総合支援法」に基づいて運営されていますが、2018年の報酬改定などでは、事業所数が非常に増えた「放課後等デイサービス」などに規制強化が加わりました。「児童発達支援管理責任者」という有資格者1人の配置で良かったことが、規制の強化により「児童指導員」や「保育士」の配置も義務化されました。

そのほか、「就労移行支援」は一般企業に就労できるようにサポートするサービスですが、この評価方法が変化しています。
一般企業には、従業員が43.5名以上いる場合に、障がいをお持ちの方を1名以上雇用する「障害者法定雇用率」というものがあります。今は2.3名が目標数値ですが、受け入れのある企業に事業所から利用者さん(障がいをお持ちの方)を紹介して、利用者さんが職場に定着をできるように「定着支援」をする必要があります。いわゆるアウトカム、結果主義の形に変わってきました。

障がい者グループホームの「共同生活援助」では、お昼の時間に利用者さんが就労支援や生活介護などに行くため、以前は事業所に管理者しかいない状態でしたが、そういった時間もサービス支援を行うように変化していきました。
 

ー 評価の指標を見直し、充実した支援を提供

 
さまざまな制度が見直される中、「重度」の方に対する支援を充実させようと変わっていきました。2021年の改定に関して、障がい者グループホームでは軽度な方の報酬を下げていく。そして重度の方の支援は、報酬も手厚くしていく、ということが行われました。「就労支援」も、例えば「就労継続支援A型」事業所などは、5つのスコア形式で、よりサービスの質を評価していく指標をしっかりと定め、運営を行う方向になっていきました。

これによって、報酬や法律改定による「国の方向性」に従った事業運営をしていかなければ、小手先だけで運営しているところは、報酬が下がるなど改定の影響を直接受け事業所として淘汰されていくということが分かるかと思います。逆に事業所数が減少傾向にあったサービスも、制度改定による報酬の厚遇化を受け2018年から2020年、2021年にかけて、事業所数の増幅が出てきているという面も見られます。
 

本記事を最後までお読みいただきありがとうございます!
「介事連の取り組み」や「近年の障害福祉サービスの制度施行について」について、いかがでしたか?
つづきの内容を知りたい方は、以下からご覧いただけます。ぜひあわせてご確認ください。
 
 

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