ケアカルテと連携できる機器をご紹介する連携機能シリーズ。
今回は、パラマウントベッド株式会社(以下、パラマウントベッド)の「体動センサーを用いた見守り支援システム(以下、見守り支援システム)」をご紹介します。
医療・介護用の専門ベッド分野において日本を代表するメーカーが手掛ける見守り支援システムが、数多くの現場に選んでいただけている理由についてお届けします!
睡眠を「見える化」 タイムリーな個別ケアの提供へ
医療・介護用ベッド国内シェアNo.1のパラマウントベッドが提供する見守り支援システムは、マットレスの下に敷かれたセンサーが「体動」を捉えることで、睡眠状態や起きあがり・離床・在床を把握することができます。
ケアカルテと連携することで、その情報が自動的に記録されるようになり、ケース記録と睡眠情報を併せて確認することができます。その結果、時間の短縮になることはもちろん、利用者さんお一人おひとりの状況に合わせたきめ細やかなケアに繋げることができるというメリットが生まれます。
機器開発において「こだわっている」ポイントや、製品の強みとは?
今回はパラマウントベッドの岩田さんに詳しく伺いました。
自然な睡眠を測り「睡眠習慣」を把握して個別ケアにツナげたい
―まず、製品のしくみや特徴を教えてください
今回紹介する見守り支援システムは、マットレスや敷布団の下に敷いて電源を入れるだけで睡眠状態を測定できる「非装着・非接触」のタイプのセンサーを使用するので、利用者さんに機器の存在を感じられることがなく、自然な睡眠を測定できます。
測定データはWi-Fi経由で管理用パソコン(有線LAN接続、固定IPアドレス)に送信され、管理されます。
センサー部では、呼吸や心拍、寝返りなどの「体動」を振動として検出しています。
そのパターンによって睡眠や覚醒、離着床を判定し、管理用パソコンやモバイルの一覧(リアルタイムモニター機能)で確認することでお部屋に行かずとも利用者さんの状態が確認できるしくみです。
「リアルタイムモニター」機能では、睡眠は「青」覚醒は「黄」のように、色彩とアイコンによって利用者さんの睡眠や覚醒状態を視覚的に確認でき、介護スタッフが効率的に必要なケアを提供できます。
さらに、睡眠日誌や呼吸・心拍日誌で利用者さんの睡眠習慣や体調を把握して、お一人おひとりに適したサービスを提供できるようになります。
また、次のように通知するタイミングを調整することで、目的に応じた使用ができるところも特徴です。
・目を覚ましたとき(「睡眠」から「覚醒」に状態が移行したとき)に鳴らす
→ 目を覚ましているときにオムツ交換など実施できるよう、タイミングを計ることができる
・「起き上がり」の状態になったときに鳴らす
→ 転倒リスクのある方が、起き上がって端座位になるまでのタイミングで訪室できる
(転倒を防止できるタイミングで駆けつけられる)
睡眠状態を知るための”アセスメントツール”
―パラマウントベッドの見守り支援システムが持つ「強み」とは何でしょうか
(パラマウントベッドの見守り支援システムの体動センサーは)体動(寝返り、呼吸、脈拍など)を検出し、睡眠状態を測定することを目的としたセンサーです。
身体に何も装着しないため、物理的に利用者さんの睡眠を妨げることがありません。また、離れたところからも利用者さんの睡眠状態が分かるようになるため、眠っているところへ見回りに行くことで足音によって起こしてしまうといったこともなくなります。
夜間、利用者さんがお休みになられているときは、そのまま寝ていただいていた方がお互いに良いはずですよね。覚醒時にうかがうなど、適切なタイミングでケアを行うことができるようになりますので、介入の回数も減らすことができて、結果的にそれがスタッフの業務負担の低減にも繋がっていくと期待できます。
あとは、定性的なお話ですが…普段よくご確認いただくことになる『リアルタイムモニター』や『睡眠日誌』などは一覧で表示され、色分けで状態などを見分けることができる画面が「見やすい」「使いやすい」とお客様からご評価をいただいています。
日ごろ目にする機会が多い画面は、ストレスなくお使いいただけるよう設計しています。この点も強みとして数えることができるのではないかと考えています。
「振動がなくなったタイミングで判定」による離床判定
―開発時に重要視したポイントなどはありますか
強みのところでもご紹介したとおり「判定精度」にこだわりを持っています。
実は、この体動センサー、他社の製品と比較すると離床判定の速度は遅い方で、検知から発報までは大体10~15秒くらいです。これは「判定精度」に強くこだわっているからこその影響といえます。
具体的には、離床時の「振動」からどのタイミングで判定するか、という点が判定速度に直結します。今回の見守りセンサーでは、発生した振動がきちんと振れ終わったタイミングで判定することによって、離床判定を行うことができるというしくみです。
実際、判定を速くすることはできますが、速いタイミングで判定するということは、振動が振れ終わる前に(振れている途中で)判定するということになります。しかし、振動が振れ終わる前に判定するということは、判定後に離床したのか、そのまま在床なのかは実際と異なることも考えられます。この判定結果は、精度に影響する可能性が出てきます。
このように、判定のタイミングは精度に直結することになりますので、たとえ時間が掛かったとしても(離床することで発生する)振動が終わってから判定するようにして、離床判定の精度の方に特にこだわる設計をしています。
―転倒の危険を防止するにあたって、離床判定の速度が遅いことは不利に働かないでしょうか
そもそもの話ではありますが、利用者さんが離床した瞬間に離床判定できたとしてリアルタイムに通知が鳴ったとしても、それでは遅いと考えられます。距離が離れた場所だと転倒事故などに間に合うように駆けつけることはできません。
その点については、見守り支援システム側の「通知のタイミング設定」で対応することをご案内しています。
離床の手前で、つまり離床予測的に「起き上がり」を判定、その際に通知する設定にしておきます。
すると、対象の利用者さんが起き上がったタイミングで通知が鳴りますので、その後、利用者さんが端座位の姿勢になるときまでの時間でスタッフが駆けつけられる、そして転倒を防ぐことができる、ということを想定しています。
もちろん、利用者さんは起き上がってもベッドから離床せず、そのまま寝るといった可能性もあります。
結果、訪室しても就寝されているだけで特に危険は無い状態だった、となるケースも十分考えられますが…
実際に、利用者さんが離床しスタッフが駆けつけるのが遅れることで事故が発生してしまった、となるよりは、たとえ”空振り”となったとしても間に合うタイミングで駆けつけられる状況を想定した運用にしておくべきだと考えています。
そのため、私たちは「離床予測」的なタイミングでの通知設定で対応する方法を推奨しています。
全床導入でユニット全体を「見える化」
―パラマウントベッドの見守り支援システムは、どのような事業所さまに選ばれ、お使いいただけているのでしょうか
特養の事業所さまをメインユーザーとして、有料老人ホームやサ高住なども含め入所系の施設さまでお使いいただいています。
特養のサービスは人員基準が決まっているため、機器を導入しても夜勤従事者を減らす、とはいかないという事情がある中で、
●採用活動の際に、見守り支援システムの運用実績で『働きやすい職場』であることをPRできる
●既存のスタッフが長く働くことができるような就業環境の整備といった効果も期待できる
といった点から導入を決めたというお声もいただいています。
新築特養に初めて全床導入いただいた2015年頃から「介護人材不足を補うための介護ロボット」と呼んでいただけるようになり始め、業務負担の低減や就業環境の改善を主目的として導入を決めていただけるようになりました。
機器単体でもお役に立てますが、他システムとの連携で利便性を高め、システムの総合的拡張もできるという面で導入を決めていただけたというご意見もあるようです。
―導入事業所の規模についての想定はありますか
規模は問わない、と考えています。
100床の特養でも、20床の単独のショートステイでも、どのような規模の事業所でもユニットの単位まで細分化して考えると、最大20人くらいを1名のスタッフで管理するという体制になりますので、規模の大小は関係なく対応可能と言うことができます。
規模は問わず、ではありますが、私たちは「全床導入」での運用を推奨しています。
全床導入によってユニット単位全員の睡眠状態などを「見える化」することで、初めて全体の見守りの運用方法を効率よく、効果的なものに変えることができるようになります。それによってスタッフの業務負担低減を実現し、生産性向上につなげることができると考えています。
一部分への限定的な導入では、どうしても今まで通りの運用方法を継続せざるをえない部分が残ってしまうため、導入効果が出にくくなってしまうと考えられます。特定の方の睡眠状態の確認や体調変化の気づきに使用するのであれば一部導入でも効果的に使用できると考えられますが、使用目的が主にユニット全体の「見守り」ということであれば、全床導入の方が間違いなく効果が出やすいと言えますね。
―予算の問題で全床導入が難しい、というケースもありそうですが
例えば「予算の都合で、施設全体の半数だったら機器が導入できる」というケースの場合でも、やはり各ユニットに数台ずつ分けて…というような設置の仕方をしてしまうと効果が出にくくなってしまいます。
設置例として、一方のユニットを全床導入で100%「見える化」をする、もう一方のユニットには1台も設置しない、という運用にした方が導入効果は出やすくなると考えられます。
販売方法の話となってしまい恐縮ですが、初期導入費用を抑えて手っ取り早く全床導入を実現したいということでしたら、レンタルのサービスを利用していただくという方法もあります。
機能拡張と活用支援サポートで
「より便利」を「使いこなせる」まで
―今後目指していることや、より便利にお使いいただくために取り組んでいることなどはありますか
(パラマウントベッドの⾒守り⽀援システムは)様々な機器やシステムと連携できる点についても「強み」であると考えており、今後も連携の数を増やすことに⼒を⼊れていく予定です。
ナースコールや介護記録ソフトなど、お客様にとって有益になると考えられる機器やシステムとの連携を積極的に、継続して進めていきます。インカムのような新しい機器とも連携して、夜勤職員配置加算の⼈員基準緩和条件への対応のような「加算要件」にも対応していけるよう取り組んでいます。
カメラも見守り支援システムとも連携済みで、今後他のシステムとの連携も拡張していく予定ですが、できるだけコンパクトで統合的なシステムにしていきたいと考えています。
また、導入・運用の支援サポートメニューも新たに用意しました。
現在、パラマウントベッドの睡眠研究所に在籍する看護師がインストラクターとなって、見守り支援システムを導入目的に沿って活用できるようになるまでお客様をサポートする、というサービスメニューです。
ご好評につき、インストラクター増員が予定されており、多くのお客様に活用いただけている状況です。
見守り支援システムをより効率よく便利に使っていただけるように、これらシステム連携と支援パッケージを提案させていただいております。導入の際は是非、併せてご相談ください。
いかがだったでしょうか。 詳細をもっと知りたい方は、以下のリンク先にアクセスし内容をご確認ください! 〈問合せ先〉
検知精度を追求し、全床導入でより効果を発揮するパラマウントベッドの見守り支援システム。
利用者さんの睡眠習慣を正確に知ることができ、ケアカルテと連動すれば睡眠情報と日常の記録を同時に比較、確認することもできます。そこから、お一人おひとりの状態に合わせたケアをタイムリーに行うにはどうしたらよいのか、今後どのようなことが起こるのかを推測できるか、といった分析をしていただくことまでできるようになります。
また、職員さんのための「業務負担の低減」「就業環境の改善」といった目的も強力にバックアップします。
パラマウントベッド株式会社
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