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Case Study

導入事例

成功する事業者が実施している
介護ソフト導入の具体的方法とは?

手書きや現行の介護ソフトから新ソフトの入れ替えまでを、限られた時間の中で「何をどう進めていくか、何を選んだらよいのか分からない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。今回は、介護ソフト導入を成功させるにはどうしたらよいのか、という課題について事例を交えてご紹介します。
  

介護業界の厳しい経営環境

令和5年2月の厚生労働省の介護給付費分科会が発表した経営実態調査を見ると、特養・通所介護では令和3年度の決算で前年度より大幅に収支差率、利益率が下がっていることが分かります。コロナ補助金を含まない全サービスの平均の利益率も下がっており、令和4年度はさらに下がる見込みです。このデータから多くの事業所が赤字経営となる可能性があるという介護業界の厳しい経営状況が見えてきます。

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そのような状況の中、介護業界は超高齢化や要介護者の急増に立ち向かわなければなりません。当然より多くの介護人材が必要となりますが、労働人口には限りがあります。そこで求められるのがICTを活用した効率化です。さらに介護サービスの質向上やスタッフの業務負担軽減への対応も必要となります。

いま手書きで対応していたり、不便を感じながらも現行のソフトを使い続けている事業所さまの中には「このままでいいのだろうか?」と不安を感じていらっしゃる方も多いはずです。
どのようにしたら、この厳しい状況を乗り越えられるのでしょうか。
「事業所に合った効率化」を進めるためには、どんなソフトを選んだら良いのでしょうか?
 

なぜ介護ソフト選びに失敗してしまうのか?

事業所に合った介護ソフトを選ぶことができれば、そのソフト導入の成功によって業務改善を力強く押し進めることができるでしょう。ところが残念なことに、多くの方が介護ソフトを選ぶときに失敗をしてしまう現実があります。一体なぜなのでしょうか?
さまざまな事業所さまにお話を伺う中で、失敗にはいくつかのパターンがあることが分かりました。
 

パターン1:ソフトの比較検討が足りない

1つ目はソフトの比較検討が足りない、または比較検討をしていないというパターンです。ネット検索や営業の話を聞いただけで2、3社を適当に絞り込んでしまっている方は要注意です。なぜなら、本当に事業所にふさわしいソフト、選定すべきソフトを始めから選考対象外にしてしまっている可能性があるからです。
 

パターン2:導入の目的がはっきりしていない

介護ソフトを検討しているうちに、導入することが目的となってしまい、本来達成したかったはずの業務改善や効率化といった目的が疎かになってしまうパターンです。必要とする機能や基準などを整理しておかないと、不要な機能ばかり、あるいは必要な機能を持たないソフトを選んでしまうことになりかねません。
 

パターン3:営業や代理店担当者のトークを鵜呑みにする

営業や代理店担当者のトークは魅力的。そんなトークを前にすると、判断基準が曖昧になってしまう…そういったご経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。口コミ情報や確認すべきポイントなどをあらかじめまとめておき、担当者が誰になっても、ブレずに同じ結果を得られるような準備が必要です。

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介護ソフト選びのポイント

失敗しない介護ソフト選びには、比較検討が重要。それを踏まえて介護ソフト選びの流れとポイントを整理すると、以下のようになります。

第1フェーズ:ポイントの確認・整理

比較検討を始める前に重要なのは、比較するための基準を明確にしておくこと。そうすれば比較検討時に確認箇所が分かりやすくなるだけでなく、導入後のミスマッチを防ぐことができます。法人として「評価軸」をしっかり持っておきましょう!
 

第2フェーズ:比較検討

「評価軸」を基に、候補となるソフトを絞り込むフェーズです。介護ソフトは世に数多くあります。その中から事業所に合ったソフトを選ぶために重要なのはポイントを押さえて比較検討すること。第1フェーズで明確にした基準がブレないよう、比較検討を進めます。
 

第3フェーズ:デモ体験

直接操作性や使用感を確認でき、導入後をリアルに想定した選定感で臨めます。
 

第4フェーズ:ソフト決定

操作研修、データ移行などが円滑に行えるよう事前の計画が必要です。

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今回は第1フェーズと第2フェーズについて詳しく解説していますが、特に重要となる「比較検討」段階の判断材料の一つとして、記録に強い介護ソフト「ケアカルテ」の導入事例を確認していきます。
導入事例とは、製品やサービスを導入したお客さまの声をまとめた実例で、いわば「口コミ」と同じくらい有用な情報です。課題や解決策などがリアルに語られており、法人や上長に稟議を上げる際には強力で不可欠な要素になってくれます。
  

ケアカルテとは?

30年以上もの間、介護記録ICTに特化して開発されてきた「記録に強い」介護システムです。入所・通所・訪問・相談などあらゆる介護サービスに対応していることも強みです。
記録はiPhoneやiPadといった端末を用いることで、簡単に速く入力することができます。AIを用いた音声入力での記録作業も可能です。
特徴的なのはカスタマイズ機能。例えば施設独自で使っているチェック表や帳票をシステム内にそのまま再現できるため、システムに合わせて業務の対応を変えなければならない、というようなストレスがありません。デジタルでの記録ですから、もちろん自動転記が可能です。手書きによる面倒な転記がなくなります。
また、さまざまなICT機器やサービスとの連携も魅力。機器ごと、サービスごとにデータがバラバラになってしまうようなことがなく、一元管理ができます。
では、すでにケアカルテを活用してくださっている事業所では、当初どのような課題を抱えていて、それをケアカルテでどのように解消していったのでしょうか?

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ケアカルテの導入事例

目標設定と要件定義をしっかり行いケアカルテを導入した3つの事例では、当初の課題を解決し、業務効率化とサービス向上に成功しています。

導入事例①:社会福祉法人 正和会 特別養護老人ホーム 成華園さま

〈導入前の課題〉
開設以来使用してきた介護ソフトにさまざまな課題点が出てきたため、システムの入れ替えを決めたそうです。具体的には
・手書き記録との併用、部署ごとに存在する重複記録、統一性のないバラバラな書式の記録により情報共有ができていないこと
・LIFE関連の加算取得のため、記録の効率化と紙コストの削減に対する必要性
・入所待機者の一元管理ができておらず、サテライト施設と入所者を奪い合う状況になる恐れ
といった課題を抱えていたそうです。

〈導入後の目標〉
課題を解決するにあたり成華園さまでは、現状を分析して「ICTの活用で申し送りにかかる時間を80分→2分にまで削減」「ご利用者さまに関わる記録入力をケアカルテで統一」など、具体的に達成したい目標の設定に力を入れたそうです。
そして現状分析と設定した目標を軸にソフトを比較検討した結果、記録入力がしやすくカスタマイズ機能が充実していることを決め手に、ケアカルテを選定されました。

〈導入後の効果〉
導入後は、手書きのアセスメントシートや入所申込書をシステム内に再現してデジタル化できたことで、年間560枚の紙コスト削減に成功。その他にも、
・手書きのチェック表の廃止→負担やミスが軽減。上記に加えさらに年間1,500枚の紙コストを削減
・申し送りにもICTツールを活用→申し送り時間を大幅削減
・本部とサテライト拠点とのスケジュール管理や情報共有を合理的な形で実現
・職員一人あたりの残業時間を平均で100分以上削減
以上の効果により、当初挙げていた課題を見事解決されました。
 

導入事例②:社会福祉法人 新生会 サンビレッジ岐阜シティタワー・リハビリサロンさま

〈導入前の課題〉
稼働状況が振るわず、家賃が支払えなくなる不安まで生じていたため、差別化を図って地域の中で圧倒的に選ばれる施設になるという目標を立て、導入を進めたそうです。

〈導入後の目標〉
具体的な目標として、
・利用者がiPadでリハビリメニューを自己選択できるシステム「マイプラン」を構築したい
・利用者が選択したマイプランのメニューの傾向などを把握したい
・アクティビティメニューを分析したい
・日々の記録を連絡ノートと実績管理に反映させたい
など、差別化のために何が必要かを具体的に挙げたそうです。そして、ケアカルテの機能とカスタマイズであればやりたいことが実現できそうだという理由から、ケアカルテに決められました。

〈導入後の効果〉
導入後は、マイプランの実現だけでなく以下のような効果も感じられたといいます。
・情報が把握しやすくなり、利用者さんへの声かけなどケアの質が上がった
・カスタマイズした仕組みのおかげで独自分析ができるようになった
・連絡ノートを書く時間が削減できた
・iPadだけで請求情報の入力まですべて完了できた
・手書きにあった「書き間違いによる苦情」がなくなった
こういった効果が施策の「差別化」につながり、稼働率85%を超える「選ばれる施設」となりました。
 

導入事例③:社会福祉法人 欣彰会 高齢者総合福祉施設 敬寿園さま

〈導入前の課題〉
地域包括ケアに向けて、施設運営から法人運営への一体的な運営強化をしたいとお考えでした。また、人材が少なく常に仕事に追われていることや高齢者と寄り添う仕事なのに時間がないこと、さらに転記、準備記録など記録にかかる時間が増えていることも課題となっていたそうです。

〈導入後の目標〉
敬寿園さまの導入プロセスにおいて特筆すべきは、システムの検討開始から導入まで3年ほど時間をかけて慎重に導入された点です。1年目は求める要件を詳細に洗い出し、選定の条件として明確に設定。2年目はその選定条件を基に、展示会での視察、営業担当との情報交換など、さまざまな角度からソフトの検討を進めています。3年目に予算の承認を経てシステム採用を決定。その後各施設への説明やデモ、カスタマイズ要件のヒアリング等を経て本格稼働を開始しました。
作成された依頼書には「基本情報等と個別記録の連動」「経過記録など、法人内での情報連携」等々、実に100項目にわたる要望が記載されており、その条件の90%以上を満たせることから、ケアカルテに決められたそうです。

〈導入後の効果〉
・各施設で介護記録にバラつきがあったが、法人全体で統一された
・転記作業ボリュームが1/3まで減少
・記録時間の短縮により、時間外勤務が前年比20%減少(2020年度)
・介護記録と請求記録が連動したことにより、事業のすべてが実績に反映
・新規採用へのアピール戦略としてイメージアップ
・2021年度のLIFE加算に向け、スムーズな移行作業の実現
以上のように多くの条件をクリアされました。

職員の方からは、新しいテクノロジーに対して後ろ向きな職員さんと年配の職員さんへのフォローに苦慮したという声もありました。これからソフトの導入を考えていらっしゃる方は、こういった必要もあるかもしれませんので、事前に対応できるよう確認していただければと思います。
  

まとめ

いかがでしたか?3つの導入事例をご紹介しました。

事例からは、
・どのような課題を抱えているかアウトプットし、まとめる
・解決策や、改善策を打ち出し、ソフト選定時のポイントとして整理しておく
・ポイントを「評価軸」として用意し、ソフト選定時の基準とする
・できるだけ多くのソフトから絞り込みを行い、候補を取りこぼさないようにする
・導入事例を稟議の資料として活用する
などがソフト選定や導入にあたってのポイントになってくると思います。
今回ご紹介しました事例以外にも、ケアコネクトジャパンのサイトには様々なご施設の導入成功事例が掲載されています。ぜひご確認ください。

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