2018年に全事業所でケアカルテを一斉導入された株式会社スマイル(本社・神奈川県横須賀市)。導入から4年目を迎えた同社に、ケアカルテの導入にいたった経緯、ICT活用による業務改善の効果などを伺いました。
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ケアカルテ導入の担当者として同社のICT化を牽引した 東海事業部部長 萬田勝彦さん
カスタマイズ性の高さで、手書き入力からの移行がスムーズに
神奈川県横須賀市に本社をかまえる株式会社スマイルは、介護保険制度が始まる前の1994年に、介護に従事する会社として創業しました。「介護という言葉から、笑顔が連想される社会を作りたい」をモットーに、現在は神奈川県のみならず、東京都や静岡県など計29箇所で、デイサービスや居宅介護支援、グループホームなどの介護事業を展開しています。
ケアカルテの導入前は、国への請求業務のみ他社の請求ソフトを活用していた同社。その頃、介護記録は主に手書きで行なっていました。しかし世間がICT化へとシフトして行くなか、介護記録も更なる効率化を目指したいと考えていたそうです。
そこで、ケアコネクトジャパン主催のユーザー交流会に参加した萬田さん。これまで他の介護事業所との接点が少なかったなかで、他社の導入事例に触れ、一気に導入へと気持ちが傾きます。特に心を動かしたのが、ケアカルテのカスタマイズ性の高さです。
手書き運用だった同社にとって、タブレット端末での介護記録は慣れない職員たちの負担になってしまう可能性がありました。「何がどこに書いてあるかわからないと、導入時に混乱してしまう。これまでの手書き業務となるべく形を変えることなく移行できれば、職員さんたちが困らなくてよいと思いました」と萬田さん。
導入時に、従来の手書き用紙と、ケアカルテの入力画面をほぼ同じようにカスタマイズしたことで、職員たちもスムーズにタブレットでの入力に移行できたといいます。また、手書きで記録をしている時は、複数のシートに氏名や担当者名、バイタルの数値や利用状況など、いくつも同じ内容を転記する必要がありましたが、基準となる画面1箇所に記録するのみで各様式に自動で反映されるようになったため、「作業効率が飛躍的に向上した」と言います。
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「カスタマイズ」で手書き用紙をケアカルテの中に実装し省力化に成功
請求業務を一括管理へ
ケアカルテの導入を、全社一斉に実施した同社。すべての職員さんがICTに対して前向きではないなか、事前のアナウンスや導入時の操作説明会などを本来よりも丁寧に開催して、理解を深めたそうです。
導入当初は、慣れない理由から手書きよりも時間がかかる職員さんもいましたが、操作に慣れていく中で全体の業務時間が短縮。「訪問系サービスは利用者さんのカルテを1つずつ持ち出していましたが、それがタブレット1台で管理できるようになり楽になった」と、入力業務以外でもケアカルテ導入の効果を実感するようになったそうです。
また同社ではケアカルテ導入に際して、各事業所で行なっていた請求業務を一括で管理できる専門部門を設立。作業を移行しました。「現場サイドとしてはサービス提供の実績を介護記録に入力するだけなので負担軽減になりました。それはケアカルテの効果として、一番インパクトがありましたね!」と萬田さん。
複数の自治体で事業展開する同社にとって、自治体によって微妙に書式が違う提出書類も悩みの種でした。そこもケアカルテのカスタマイズ機能を利用することで、同じ入力画面で各自治体に合わせた書類が出力できるようになり、以前より効率化されたといいます。
経費と時間の削減。職員のモチベーションアップにも
ケアカルテ導入によるペーパーレス化で経費削減を実現。「デイサービスでは1日10枚ほど紙による記録が必要でしたが、今ではほとんどなくなりました。送迎表など一部課題は残っていますが、7〜8割はペーパーレスに。グループホームに関しては、日報を出さなくなったので9割以上のペーパーレス化を実現できました」と言います。
手書き時代、職員1人あたりの介護記録にかける時間は月に約60時間近くでしたが、ケアカルテ導入で80%以上記録時間が減少し5〜10時間で行えるようになりました。記録以外の業務に費やせる時間が増えたことで、各事業所であらたな企画に取り組むなど利用者さんのことを考えた施策が実行できる場面も増え「職員さんのモチベーション向上にもツナがっている」とのこと。
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記録はケアカルテに直接入力するため紙のチェックシートやメモは使われていない
介護事業者としての“あるべき姿”へ
同社では介護記録や申し送りなどを、 AIと音声入力でサポートする「ハナスト」の導入もはじめています。ケアカルテ導入をきっかけに、本格的なICT化へ舵を切ることができたと語る萬田さん。その眼差しの先には、介護事業者として“あるべき姿”を映す未来があります。
「介護保険は本来、自立支援を進めていきましょう、維持・向上をしていきましょうというものです。介護事業者として目指す本来あるべき姿、さらに言えば介護職員である我々の存在意義をもう一度確かめる必要があります。業界全体が、人材不足や日常の業務に忙殺され、介護に対する知識の向上というものが遅れている部分があると感じています。弊社もまだ道半ばです。ケアコネクトジャパンでは、交流会が積極的に開催されていて、他のユーザーさんとの横のつながりを広げていけます。弊社がやっていることが正しいのか、正しい方向に進んでいるのか不安だったなかで、他事業者さんの情報を聞き、自分たちに足りていないことや、もっとできることがわかりました。今後も他のユーザーさんたちとの交流をつづけながら、介護事業者としての価値を高めていけたらと思っています」(萬田さん)