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今求められる
障がい福祉のDX推進とは

一般社団法人 全国介護事業者連盟 障害福祉事業部会 会長 中川 亮 氏

2022年11月17日(木)に開催した、一般社団法人全国介護事業者連盟(以下、介事連) 障害福祉事業部会 会長 中川さまによるセミナー『今求められる
障害福祉のDX推進とは』の内容を、週刊ケアカルテでもお届けします。

本記事では、セミナーの中間部分にあたる「DX推進」や「ICTの活用」、「課題」について、ご紹介しています。

内容を動画で知りたい方はコチラ
 

目次
 
● 障がい福祉分野におけるDX推進
● 介事連の取り組み
● 障がい福祉サービスの主な課題
  ー 課題1『人材確保』
  ー 課題2『サビ管(サービス管理責任者)、児発管(児童発達支援管理責任者)の要件』
● 令和3年度 報酬改定の振り返り
 
 

セミナー登壇者
 

 

● 障がい福祉分野におけるDX推進

 
『障がい福祉におけるDX推進は非常に遅れている』という現状があります。
介護分野は2021年改定で「LIFE」が整備されたり、それに付帯する加算や報酬が追加されたりするなど変革を遂げていますが、障がい福祉に関してはまだまだ進んでおりません。

DX推進と言いますと、「産業化・生産性向上の推進」というところになるかと思います。
最低限の規制強化は当然だと考えていますが、そのほかにも現場の声を国へと上げていくことが必要です。その役目を介事連が行なっていこうとしています。
現場から「報酬を上げてほしい」「加算を増やしてほしい」といった要望をいただくことがありますが、少子高齢化の中で税金の徴収が減少していることを加味すると、報酬を上げるには物理的に考えて限界があります。そういった状況の中で事業者として大事なことは、利益をいかに確保できるかになりますが、法整備等はしっかりなされているのでしょうか。
例えば、一定の人員配置などもしっかりとしたエビデンスに基づいて行われているかというと、そうでは無いと思うところがあります。
 

● 介事連の取り組み

 
介事連としては、しっかりとICT化、DX化を図れるところは図りながら効率よくサービスの質を下げずに売上を確保していく、経営者にとってもそこが大事だろう、と考えています。
売上が下がったとしても、利益の確保、サービスの質の担保ができていれば、事業を持続していくことができます。我々もこういった活動をしていると「加算を上げたい」「報酬を上げたい」と国に伝えるように相談を受けますが、特に障がい福祉は社会保障費が全額税金で賄われているという構造上、その要望を叶えることはなかなか難しいと言えます。例えば、医療として考えると財源は医療保険と税金。介護福祉は介護保険料と税金ですが、障がい福祉は全て税金です。半分が国で残り半分が都道府県と市区町村の税金で賄われています。介事連では、加算や報酬を簡単に上げることが難しい構造を鑑みて、しっかりと生産性の向上を見直しながら進めていかなければならないという方向に動いています。

以上のことから、我々介事連がDXの推進をしていくのは当たり前のことであると言うことができます。「利益」に対するリテラシーも社会福祉業界全体としてまだまだ遅れている部分もありますので、セミナー等を通じて発信していきたいと考えております。


 

● 障がい福祉サービスの主な課題

 
障がい福祉サービスの主な課題としては『人材確保』『サビ管(サービス管理責任者)、児発管(児童発達支援管理責任者)の要件』を挙げています。
 

ー 課題1『人材確保』

 
「人材確保」の課題について、介護福祉では外国人の登用が増えており、DXやICTも推進する方向で動いていますが、その背景からは人材確保が難しくなってきていることが考えられます。超高齢化社会が進み、介護施設を利用される方が増えている一方で労働人材が確保できないため、外国人登用やICT、DXのマインドを高く持って動いているところでしょう。
障がい福祉も、介護福祉ほどではないですが、いずれその波は来ます。制度も介護福祉に比べて約5、6年遅れで整備されています。今事業を行っている方、またこれから事業に参入しようと準備されている方は、このような「人材確保」について知識や認識、これから先の計画は持っていくべきだと考えられます。
 

ー 課題2『サビ管(サービス管理責任者)、児発管(児童発達支援管理責任者)の要件』

 
次に「サビ管、児発管の要件」の課題ですが、障がい福祉において、サービス管理責任者だけが有資格者として必要、または児童発達支援管理責任者だけが有資格者として必要、としているサービスが多いです。

サビ管、児発管以外で有資格者の配置を必要とするサービスについても見てみます。
訪問系、医療系、看護系のサービスには、看護師を必ず配置するといった要件があります。児童福祉に関しても保育士や児童指導員などといった資格者を用意しなければなりません。また、OT(作業療法)、PT(理学療法)、ST(言語聴覚療法)などもですね。そのような資格保持者を配置すると加算として評価するという仕組みがあります。

このように、配置を必要とする有資格者の資格の種類はサービス種別によって異なりますが、その中でもサビ管、児発管に関してのルールが2022年4月から厳格化されました。更新研修などの機会が設定されていないためサビ管・児発管の要件を満たした後における質の担保が困難であることが指摘されていたことが厳格化の一因であると考えられます。
これまでは「サービス管理責任者研修」を受講して、修了証を持っている資格者がいれば「サービス管理責任者」「児童発達支援管理責任者」として配置されることで、事業所を開業、運営することができました。しかし2022年4月からは、研修を受けたとしても2年間は現サビ管、児発管のもとでOJTを受け、2年後に研修を受けて初めてサビ管、児発管になれるというルールとなりました。つまりこの2年間は、新しいサビ管、児発管が生まれないこととなったわけです。その影響で、求人倍率の高騰が起こりました。
障害福祉分野におけるDX化を早急に推進しながら、このようなサビ管、児発管の要件なども介事連としてしっかりと打ち出していかなければならない認識でおります。


 

● 令和3年度 報酬改定の振り返り

 
令和3年度の報酬改定の内容を振り返ります。
「持続可能性の確保と適切なサービス提供を行うための報酬等の見直し」の項目の中に「業務効率化のためのICTの活用」が掲げられています。『ICT』はこれまでの改訂内容に出たことがありませんでしたが、今回から挙げられました。
介護福祉に関しては、2011年からLIFEという科学的根拠に基づく支援介護が報酬に反映された背景がありますので、介護福祉に対して5,6年遅れている障がい福祉でもいち早く取り組んでいく必要があることが考えられます。

実際に障がい福祉現場では、コロナ禍による行動制限をきっかけに、テレビ電話を用いて支援するなどICT活用を推進させていきました。
会議や支援では、直接対面よりも業務効率化としてICT化が進んだ現状があります。
また、就労支援の場合ですが、以前は日常的に大きな機器の装着が必要で通所が難しい方に対して、訪問在宅の支援が許されていましたが、コロナの状況下で障がい特性に関わらず本人が希望し行政が認めれば在宅での支援が可能になるなど、ICT活用の加速度が増したと感じております。
 

本記事を最後までお読みいただきありがとうございます!
「DX推進」や「ICTの活用」、「課題」について、いかがでしたか?
つづきの内容を知りたい方は、以下からご覧いただけます。ぜひあわせてご確認ください。
 
 

 

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