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Case Study

ケアカルテ活用/運用事例

モバイルの有効活用で短時間に正確な記録入力を実現

社会福祉法人 秀美福祉会 介護老人福祉施設 アイリス

月刊ケアカルテ6号のケアカルテ活用/運用事例では、
大阪府枚方市の介護老人福祉施設 アイリスさまでの「ケアカルテ」の活用の仕方や導入してから改善したこと、ナースコールとの連携について、事務長の川端さま、特養副主任の猪熊さまにお話を伺いました。ぜひ最後までご覧ください。

 

モバイル入力をイカし、記録の正確性にツナげる

ー「ケアカルテ」で使い勝手が良いと思った機能はありますか。

ケアカルテの「記録機能」はとても使いやすいと思っています。
パソコンはもちろんですが、iPadやiPhoneを使った記録入力はとくに活用しています。その使い勝手の良さが、ケアカルテを導入する決め手にもなりました。

もともと、アイリスでは「請求」よりも「記録」がしやすいシステムの導入を検討していました。「記録」ってケアした直後に入力できる環境が整っていないとどんどん後回しになっていくと思うんです。そのため、その場で出来るだけメモするのですが、後からメモを見て記録する際、メモに書いた以上の内容は不鮮明となり、最低限の記録だけ残すことが多くなっていました。ケアの方針や対応を考えるためには、出来るだけその時の様子が正確でくわしい記録が残ることが大切だと思います。
検討していた当時にそれらを解決できたのがモバイルでも入力可能なケアカルテ(導入当時はちょうじゅ)の記録機能でした。ケアカルテを導入してからは、ケアした直後にiPhoneを使って記録ができるようになったので、記録の内容が鮮明になりました。

 

ー「記録機能」を活用してみて、改善したことや良いと感じたことはありますか。

夜勤の巡回や記録をその場ですぐに入力できるようになったことが良かったと感じています。
導入前は、巡回が終わってから記録をするので巡回した時の利用者さまの様子が不鮮明な記録となっていましたが、今はその場で記録ができるので情報がより正確になりました。
記録入力にはiPhoneを使っているのですが、端末に付いているライトを安否確認で使ったり、メモをしたい時は他のアプリを使ったりと記録入力以外にもできることが多いので、iPhoneならではの便利さもたくさんあります。

巡回した記録が鮮明になったこともそうですが、手書きの時には限られていた記録量をケアカルテを使ってから増やすことができました。モバイルならパソコンとは違って持ち運ぶことができるので、移動しながら記録ができるのはとても便利ですね。

iPad、iPhoneを使って簡単で正確に記録入力、パソコンで記録を確認

iPad、iPhoneを使って簡単で正確に記録入力、パソコンで記録を確認

 

ー 記録入力の時間が削減したと感じる場面を具体的に教えてください。

帳票の転記作業はとくに記録にかかる時間を削減できたと思います。
全体の記録、個人の記録、事故の記録、市役所に出さなければならない帳票など種類がさまざまあるので、転記する作業が2回くらいであれば良いのですが、すべてに記入するのは大変な作業です。
たとえば、通所介護では利用者さまの「日常の記録」をもとに「連絡ノート」を作る場合ですが、手書きで記入すると、必要な枚数をまっさらな状態から作成しなければなりません。
しかし、ケアカルテを使って食事や入浴などの「日常の記録」を入力していれば「連絡ノート」に自動で転記することができます。さらに連絡ノートは印刷ができて、そのままご家族に渡せるので、こういった場面でも効率化を図ることができていると感じています。

 

ー 記録時間の削減、正確性のためにモバイルも有効活用されているのですね。

アイリスでは、モバイル入力できることを大前提にシステム導入を検討していました。
たとえば、モバイルを使用していない状態で、トイレやお風呂、食堂などの拠点にパソコンを設置している場合、その場所まで行かなければ記録を入力できないので、やはり時間がかかるし、正確性は低くなると思います。
モバイルを導入していれば常に持ち歩きができるので、パソコンを設置している場所まで行かなくてもその場で入力ができます。それが記録の正確性の向上や時間の削減に繋がっています。

モバイルを活用してその場で記録入力

モバイルを活用してその場で記録入力

 

ケアカルテと連携できるナースコール「ビーナース」を導入

ー「ビーナース」を導入したきっかけを教えてください。

2年ほど前は別のナースコールを導入していましたが、基盤の故障が多くて修理の期間はナースコールを使うことができませんでした。しばらくは基盤の入れ替えを繰り返していましたが、次に故障したら修理ができない状況になったので、ケアカルテと連携できるナースコール「ビーナース」を導入しました。
他社のナースコールと比較して、導入の決め手となったのは通話品質です。
介護施設では、ナースコールから受け取った利用者さまの要望を正しく聞き取って対応することが非常に重要です。以前のナースコールは音質が良くなかったので、現場の職員は常にナースコールの応対に気を配る必要がありました。
「ビーナース」は他社のナースコールと比べても通話品質が良くて、ケアカルテやPBXシステムと連携してスマートフォン1台で管理できるため、業務効率化に繋がると感じ導入を決定しました。

 

ー「ビーナース」を導入してから、改善したことはありますか。

導入前に使っていたPHSは、すべての端末に一斉にコールが届くわけではなく、初めに鳴るPHSと最後に鳴るPHSではかなりのタイムラグがありました。早くコールするPHSを持つ職員が迅速に対応できる状況にない場合、すぐに対応できる職員がいたとしても対応が遅れがちになったり、早くに鳴るPHSを持つ職員に対応が集中してしまう状況でした。
「ビーナース」を導入してからは、すべての端末で同時に受け取ることができるので、手が空いている職員が迅速に対応できるようになりました。
そして、受け取るコールの通知音は、利用者さまごとに変更することができます。
緊急性の高い人や危険度の優先順位を音で判断することができるので、夜勤帯など一人で動いている時間に活用したり、別の業務からの切り替えがとても早くできるようになったと思っています。

利用者さんをケアしながら、モバイルを使って記録を入力

利用者さんをケアしながら、モバイルを使って記録を入力

 

ー「ケアカルテ」と「ビーナース」を連携してから、利用者さんのケアなどで見直せた部分はありますか。

利用者さまが危険な状態の時に鳴っていたセンサーの履歴がケアカルテの記録に反映されるので、あとから確認したい時にとても役立っています。記録がひと目でわかるのは良いですね。センサーが鳴っていないのであれば、ベッド上で安全に過ごされていたという目安になるので判断しやすくなったと感じています。

 

ー「ケアカルテ」と「ビーナース」を連携してから、職員さんの業務で変化したことや改善したことはありますか。

それぞれのシステムを導入する前は、コールはPHSで確認、記録はその場で簡単なメモを残して、ステーションに戻ってからまとめて入力していました。メモをもとにケアの内容を思い出して記録をしていたので、不鮮明でとても時間がかかりました。記録のために残業しなければならないことも多かったです。
連携してからは「ビーナース」のコールの通知受け取りから「ケアカルテ」の記録入力までiPhone1台で対応できるので、記録を入力する時間や残業の削減につながりました。ケアの内容を思い出して入力する必要がなくなり、さらに正確な記録を残せるようになったと思います。今まで記録にかかっていた時間は、利用者さまをケアする時間に変えることができました。

 

ー「ケアカルテ」と「ビーナース」の記録を併せて見ることで、今後のケアに活かせることはありますか。

ナースコールの記録が残ることで、利用者さまの呼出し頻度や、センサー反応による転倒・転落危険度などの傾向が見えてきます。
居室入居時の配置は利用者さまのフェイスシートの情報をもとに決めるのですが、実際に入居してから知る情報は異なることが多いです。このようなギャップを知るためにも、傾向がわかるコールの情報は大切になってくると感じています。同様の傾向の方には同じ居室になってもらったり、危険度が高い方を見守りしやすい居室に移動していただいたり、居室変更に役立つデータとなっています。
また、ナースコールの記録が残ることは対応の時間を正確にすることにも繋がっています。毎日見るような使い方はあまりしないと思いますが、急変や事故の発生時間の正確性や、モニタリングやプランを立てる上で、あるとないとでは違います。何かのきっかけで情報があるとよかったりすることもあります。

 

独自の方法を使って、さまざまな形でITを有効活用

ー ケアカルテのほかにもITを活用していますか。

『スプレッドシート』や『LINE WORKS』を使っていろいろな業務を簡素化しています。
現在(2022年5月時点)は施設で3日に1回抗原検査を行なっていて、検査結果を大阪府に毎日提出する必要があります。職員には検査結果をフォームで報告してもらうことで、スプレッドシートに自動集計される為、結果をまとめて確認できるので報告の時にとても役立っています。
また、スプレッドシートはホワイトボードで管理していた事もリアルタイムで更新されるので、居室表や相談員の予定表でも使用しています。
このようなITツールを使えば、どこからでも同時に確認や編集ができたり、アンケートの自動集計や情報交換ができるので便利だと感じています。こういった経験から、施設全体でIT機器を活用して業務効率を改善していこうという動きが出てきています。

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取材を終えて…

アイリスさんではモバイルを活用して「鮮明な記録入力」や「記録時間の削減」を実現されていました。正確な記録を短時間で入力してケアする時間が増えると、職員さんや利用者さん、ご家族に安心感を与えることができますね。

そのほか、利用者さんごとに「ナースコール」の通知音を変更して危険度を判断することや、ケアカルテとの連携で取れた記録を分析するなど「より正確なケア」の提供を大切にされていると感じました。取材の中ではケアカルテに対するご要望もたくさんいただき、さらに正確な記録をしていきたいという姿勢が印象に残りました。

ケアの仕方など、皆さんも参考にされてみてはいかがでしょうか?
最後までご覧くださり、ありがとうございました!

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お話を聞いた施設

社会福祉法人 秀美福祉会 介護老人福祉施設 アイリス
サービス 特別養護老人ホーム 90床(個室10室、2人部屋2室、4人部屋19室)
ショートステイ 10床
住所 〒573-0134 大阪府枚方市春日東町2-12-10
電話番号 072-858-1300
サイトURL http://my-iris.jp/

Coverage, editing:CareConnectJapan Tanaka,Hiraoka,Ryo,Suzuki,Nakamura

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